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第2外国語の栄枯盛衰  ~ スペイン語希望者増加中 ~

大学の第二外国語で、かつては主流だったドイツ語やフランス語の影が薄くなっている。中国語を学ぶ学生が増え、“二外”を必修としない大学も増えた。だが、中国語人気にも陰りが見えてきたという。

 ■不人気の理由「投資不適格」

 「第二外国語の代表選手だったドイツ語やフランス語は『生活に必要』と言い難く、将来の職業生活への投資にならない」。西山教行・京都大教授(言語政策)は昨年末に京大であった研究会でそう指摘した。

 ドイツ語の場合、旧制高校時代から長く、文科系の学生だけでなく理科系の学生の多くにも「必要」とされ、学ばれてきた。京大では2000年代になっても履修する1年生は1千人台を維持し、英語以外の外国語で最も多かった。

 それが09年度になって千人を割った。10年度には初めて中国語(1048人)に抜かれた。西山教授は「多くの大学では90年代後半から中国語がトップになっていったのではないか」。

 ■「役立ちそう」期待を背負う

 文部科学省は全国の大学の外国語別の履修者数は把握していないが、各言語をいくつの大学が教えているかは調べていて、英語以外では中国語が03年度にドイツ語を抜いてからずっと首位。日本独文学会の12年の全国調査では、ドイツ語履修者数は中国語の3分の2にとどまっていた。

 米井巌・日本大教授(ドイツ語教授法)は、91年の大学設置基準の緩和で第二外国語を必修にしない大学が増え、ドイツ語の履修者は半減した、とみている。「ドイツ語教員はそれまで思想や哲学に重点を置きがちで、中国の経済成長に後押しされ『経済言語』として台頭してきた中国語とは勝負にならなかった」

 各言語の研究者が集まって12年に英語以外の6言語を学ぶ学生にアンケートし約1万7千人の回答を分析したところ、中国語は「役に立ちそう」という期待がもっとも強かった。

 ただ、NHK外国語講座(テレビ)のテキストの売れ行きをみると、英語以外では韓国語が一番人気だ。13年度でこれまでに中国語が最も売れた月でも14万部だが、韓国語は24万部。

 早稲田大教育学部では、07年度に中国語を学んだ1年生は541人とドイツ語やフランス語の倍近くいたが、09年度は400人を割った。中国語教育を担ってきた村上公一・同学部長は「冷凍ギョーザ事件やチベット暴動の影響で、尋常じゃない減り方にショックを受けた」と振り返る。

 ■日中関係悪化、履修者が減少

 10年度に500人台に戻ったが、13年度は400人台。村上学部長は日中関係の悪化が原因だとみており、「中国語の履修者数は政治・経済情勢に影響を受けやすい。離れた学生はスペイン語に流れている」。13年度にスペイン語を学んだ1年生は前年度比4割増の342人で、ドイツ語やフランス語を上回った。

 京大でも12年度に中国語の履修者が減りドイツ語に抜き返された一方、スペイン語は右肩上がり。13年度に履修した1年生は10年前の3・7倍にふくらんだ。

 京大の西山教授は言う。「学生はそのときの気分や実利面で第二外国語を選ぶ傾向が強くなったが、多様な文化や人びとと接する窓口として第二外国語を学ぶのだと考えてはどうか」

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